28種類のコーヒーから見えた、品種・精製・水によるカッププロファイルの違い
2026年9月24日、東京・浅草橋のGoo Coffee Roastersにて、ロースター向けカッピング会を開催しました。
今回のカッピングでは、ブラジル産8種類と、合同会社メグスタが取り扱うコロンビア産20種類、合計28種類のスペシャルティコーヒーを比較しました。
コロンビアからは、日常的な使用を想定したCastilloやColombiaに加え、Geisha、Ombligón、Bourbon Sidra、Red Bourbon、Orange Bourbon、Tabi、Pacamaraなど、近年コロンビアで生産される多様な品種・プロセスのコーヒーをラインアップしました。
今回の目的は、単純に「点数の高いコーヒー」を探すことではありません。
どの品種や精製方法が日本のロースターにどのように受け止められるのか。焙煎後の経時変化、抽出水との相性、価格帯とのバランスを含め、実際に商品として扱う立場から評価していただくことを重視しました。
カッピング条件

今回のセッティングは、コーヒー11gに対して湯量200cc、レシオ約1:18、湯温98℃。
グラインド後はまずドライフレグランスを確認し、その後注湯してアロマを評価しました。フレグランス確認時にはカップそのものには触れず、手などに付着した香りの影響を極力避けながら確認しています。
ブレーク後、表面のフォームを除去し、十分に温度が下がった段階から本格的なカッピングを開始しました。
サンプルの焙煎日は9月12~13日で、カッピング時点では焙煎後11~12日が経過していました。
直前のカッピングに比べると、フレグランスの強度はやや落ち着いた一方、コーヒーそれぞれの甘味、酸質、ボディ、発酵由来のフレーバーが比較しやすい状態になっていたと感じます。
評価が分かれたこと自体が収穫

今回特に興味深かったのは、参加者それぞれが選んだコーヒーが大きく異なっていたことです。
Villa PastoraのRed Bourbon WashedやOmbligón Naturalを好む方がいる一方、ZarzaのPacamara Naturalについては、「好みとは違うが、非常に派手で分かりやすい」「驚きを求めるならこれ」といった評価がありました。
また、Tabi “Winter Candy”については梅やプラムを思わせるフレーバーが評価され、すでに商品として使用しているロースターからも高い支持を得ました。
El OasisのGeishaについても、Washed、Semi-Washed、Naturalそれぞれに反応があり、Geishaらしい分かりやすい香味特性を評価する声が聞かれました。
さらに印象に残ったのが、
「普段使いのコーヒーが中心だと思って参加したら、予想以上に派手なフレーバーのコーヒーが多かった」
というコメントです。
私たちメグスタ/Cafe Directoがコロンビアで探しているのは、単に価格やカッピングスコアだけで選ばれたコーヒーではありません。
農園、品種、発酵、精製によって明確なキャラクターを持ち、ロースターが商品としてストーリーを作ることのできるコーヒー。
その方向性が、日本のロースターにも少しずつ伝わっていることを実感できたカッピングとなりました。
「水」でカップはどこまで変わるのか
今回、もう一つ興味深かったのが水による印象の違いです。
Goo Coffee Roastersでは浄水設備を通した水を使用しましたが、全体的に口当たりが柔らかく、甘味が比較的前面に出る印象がありました。
以前カッピングを行った川越では、同じコーヒーでも酸の輪郭やボディがやや明瞭に感じられたため、使用する水のミネラル組成やアルカリ度などが、抽出される有機酸・香味成分の知覚に影響している可能性があります。
ただし、今回の比較は同一条件下で水だけを変更した試験ではなく、あくまで官能評価上の観察です。水質とカッププロファイルの因果関係については、今後、同一ロット・同一焙煎・同一抽出条件で比較する価値がありそうです。
元の寸評でも、東京と川越で甘味、酸味、ボディ、香りの出方に異なる印象が記録されています。
スペシャルティだけではなく、「毎日使えるコーヒー」も

一方で、参加者からはもう一つ重要な要望がありました。
「2,000円台前後で、日常的に使える品質の高い生豆が欲しい」
という声です。
今回のCastillo Washedについても、「この品質であれば一般的には3,000円/kgを超えることも多いが、2,000円台であれば使いやすい」という評価がありました。Colombiaについても、デイリーユースできる価格と品質のバランスを評価する声がありました。
しかし、小規模なスペシャルティコーヒー輸入では、輸送費、倉庫費、為替、輸入数量などの影響が大きく、価格競争力を確保するのは簡単ではありません。
希少品種やマイクロロットだけでなく、品質の高い日常価格帯のコーヒーを、どのように持続的に日本へ届けるか。
これは今後、私たちがインポーターとして取り組まなければならない重要なテーマです。
生産地からロースターまでをつなぐ
今回のカッピングは、単なる商品紹介ではありませんでした。
コロンビアで農園を訪れ、生産者からサンプルを受け取り、日本で焙煎し、ロースターの皆さんと同じテーブルを囲んで評価する。
そこで得られたコメントを、再び生産者や次回の買付へフィードバックする。
Cafe Directoという名前に込めた「農園から直接、コーヒーを届ける」という考え方は、
この一連のプロセスそのものだと考えています。
今回ご参加いただいた皆さま、そして会場提供からグラインド、準備、片付けまでご協力いただいたGoo Coffee Roastersの武田様に、改めて御礼申し上げます。
これからもメグスタ/Cafe Directoでは、コロンビア各地の生産者と日本のロースターをつなぎながら、品種、テロワール、精製による違いを明確に感じられるコーヒーを紹介していきます。
