ロス・アグアカテス農園

概要

3代目農園主ルイス・アーネスト(Luis Ernesto)が家族で経営するロス・アグアカテス農園は、コロンビアのトリマ県イバゲ市の北部にあるチーナ・アルタ(China Alta)地区に位置し、ケブラーダ・ロレーナ川を望む標高1850mの高地にある。

農園主のルイス・アーネスト氏

農園を望む


ケブラーダ・ロレーナ川

急斜面に植えられたコロンビア種のチェリーを摘む。山岳地の収穫は重労働だが、高地特有の気候がコーヒーの爽やかな酸味とフレッシュな口当たりを産む。

ハンドピックによる欠陥豆の選別

ラボにて

コロンビアではコーヒー協会による長年の品質管理手法の蓄積により、高品質なコーヒの産出が可能になっている。農園ラボにて出荷される全てのロットがカッピングにより試される。

カッピング

”アフリカ式”ベッド

コーヒーの花


2022年12月訪問記

クリスマスの翌日にボゴタ市を朝4時に出発、イバゲ市の朝市でロス・アグアカテス農園主ルイス・アーネスト氏と合流。朝食の後にチーナアルタ地区まで移動。すごい道だとは聞いていたけど、四輪駆動車以外では絶対通過できない過酷な泥道でした。運転手のペドロは嬉々としてトヨタのランドクルーザーを操縦。25キロの道のりを途中の休憩を挟んで2.5時間余りのどろんこの旅。こういう道のために四駆は存在するんだね!

   

ルイスの車についていく
     
山から見下ろす美しい農園   
休憩中に山の峰を眺める

標高1200mのイバゲ市から1800mのチーナアルタ地区まで、山をどんどん登っていく。もう着いた?と思ったらまだ休憩場所でした(笑)この話はまた別の機会に。そこからが山道の本番。市場まで買い物に降りたり精製したコーヒーを出荷しに降りるのはこんなに大変なんだ。大変な道のりは主にビデオで撮ってます。


  

ロス・アグアカテス農園      

 

Toyota Land Cruizer SUMO 2001年型

雨上がりのどろどろの道をタイヤでかき回し、日本では経験できないほど前後左右にゆすられること2時間、やっとロス・アグアカテス農園に到着。こんな道のりを苦なく登りきった21年落ちのトヨタ車の性能とペドロの運転技術にすごく感心です。

農園に着くと、作業場とくっついたルイス氏家族が住む家でくつろぎます。テラスでルイスが淹れてくれたコーヒーを飲みながらルイスに話を聞いていると、ルイスの奥様ソライダさんが昼食を勧めてくれました。

   

テーブルを囲んで 左端がルイス氏

コロンビア定番の昼食フリホレス

赤豆と豚の皮を揚げたチチャロンを一緒に煮込んだフリホレスという家庭料理、バナナを叩いて伸ばして揚げたパタコン、野菜とご飯。ナチュラルな味付けでとっても美味しい。伝統的なコロンビア料理は素朴ながらとても健康に良いと思います。

家の中にこんな張り紙を見つけました。訳してみるとこんな感じ。

ロス・アグアカテス農園

  1. 労働時間は8時間以内とし、昼食1時間、水分補給1時間を午前30分、午後30分とする。
  2. 労働者と従業員の健全な共存を促進しなければならない。
  3. 幻覚作用のある物質の農場内での使用は一切禁止する。
  4. 宿泊施設、浴室、倉庫、共有スペースなどの施設は完全に整頓されていなければならない。
  5. 無差別な森林の伐採、焼畑、動物の狩猟、農場の植物相の破壊は禁止されている。
  6. 道具や作業用具は、清潔な貯蔵庫に整頓されていなければならない。
  7. 15歳未満の子供が、管轄当局の許可なく農場の外で働くことは禁じられており、彼らには公正な報酬が支払われなければならない。
  8. 農作業には保護具を使用しなければならない。
  9. 農作業の記録を残さなければならない。
  10. 国内または国際基準で許可されていない農薬の使用は禁止されている。
  11. 休憩時間は尊重されなければならない。
  12. 人種、性別、宗教、性的条件、身体的制限に基づくいかなる差別も禁止されている。

コーヒーの木を世話する作業者と環境とコーヒーのこと気遣った、農園規則だと思いました。この辺からもルイス氏の真面目な人柄が伺えます。


     

お家の上が乾燥場になってます   
 
家の北側斜面を登っていきます  
  
ルイス氏歩くのハヤ!

昼食をいただいた後は、ルイス氏にインタビューしました。ビデオは別途YouTubeにアップロードします。その後ルイス氏にコーヒー園と精製所を案内してもらいました。ロス・アグアカテス農園は北に面した斜面にあり、農園建屋は標高約1800m、コーヒーの木はそこからやや登った斜面に植えられています。品種はコロンビアを中心に他にはカトゥーラ種。今後ゲイシャを植えてみたいとのこと。農園は森だった頃の木や草をかなり残した自然な農法。化学的な肥料や農薬は使用していません。

坂道を振り返るとこんな感じ  
   
こちらのスッキリした葉がコロンビア種 

縮れているのはカトゥーラ種

今の時期、熟したコーヒーの実はあまりなっていません。四季のある日本から見ると、コロンビアのコーヒー園の不思議なところは、年中花が咲いて、実がなって、熟している実がなっているということ。赤道から近く四季の区別があいまいで、その代わり日中の寒暖の差が激しい熱帯の高地特有の気候です。ただ四季が全くないとは言い切れず、5月から7月の季節が1番熟している実が多く、一番良い収穫になるそうです。その次が地域によって差はありますが11月ごろが収穫に適した季節だそう。雨の日が多いと開花と受粉が十分に行われず、収穫も遅れ気味になります。収穫は全て手作業で、熟練した作業車は糖度の高い熟していて傷のない実のみを収穫できるそうです。


      

赤くなったコーヒー果実もちらほら 
 
試しに1つ取ってみた
        
食べるとすごく甘いです

コーヒー果実はコーヒーチェリーというぐらいだから細いステムがあると思っている方もいるかもしれませんが、コーヒーの実は木の枝に直接なります。熱帯の木は何故かステムのない実が多いような気がします。ルイス氏に断ってなっているコーヒーの実を取ってみます。赤くなった実を見つけ、軽くつまむだけでぽろっと取れます。赤くなってからさらに糖度が増すそうで、その見極めはコーヒー収穫作業員の熟練度によります。コーヒーには品種や突然変異によって黄色の身を着ける場合がありますが、熟度の見極めがより難しくなるそう。
      

ルイスの娘さん
           
隣の農園が見えます 結構標高低め    

森の中にコーヒー縁があるみたい

農園は開墾したというよりも、森の中にコーヒー園を作ったという感じ。木の枝があると、寒い朝に急に陽が照ってコーヒーの木の葉が急に温度が上昇すると、”ヤケ”が発生して枯れてしまうそうです。木陰はそのやけの発生を防ぐ役目が。とはいえあまり鬱蒼としているとコーヒーの葉が日光を吸収できず、発達が遅れる、実の糖度が上がらないことになります。その辺のさじ加減が農園主の思想や培った経験が生きるところです。ワインと一緒でマイクロクライメット(局所気候)のことは毎日コーヒーの木に接している農園主が一番知っています。


  

農園の中には野生のトロピカルフルーツが   

これから完熟するコーヒーの実 コロンビア種

農園の斜面をどんどん歩いていくと、トロピカルフルーツが普通になっています。この他にマンゴーも。その場で食べたり家でジュースにしたりするそう。
               

北東の山を背景にコーヒの木を撮る 
 
なるべく人の手をかけず、自然のまま成長させる

ロス・アグアカテス農園の斜面はそんなに傾斜がない(といっても見た目45度はありそう)ので、ハーネスをつけての収穫はしないそう。斜面と平行に移動し背の高い木は幹を掴んでたわませて収穫します。
  

  

空いている土地に植えられているネギ 

ルイス氏とコーヒーの木      

右からルイス氏・ユタカ・ルイス氏の娘さん

農園には空いている土地に自分たち家族用の野菜やフルーツを育てていました。フルーツは育てているというより、勝手になっている!という雰囲気です。近所にスーパーマーケットのような食料品全般を売っている店などなく、イバゲ市の市場に週に1度肉類を買いだしに行きます。それ野菜類は自給自足です。
     

精製設備に向かいます    
   
アナエロビック発酵の瓶   
    
階下にはミュレージを取り除く設備があります

精製設備は主に3つのパートに分かれます。収穫した実を選別する場所、ミューレージを取り除き洗浄する場所、種を乾燥させる場所の3つ。ロス・ アグアカテス農園ではウォッシュト精製以外にもアナエロビック〈嫌気発酵)やセミ・ハニー精製に挑戦しています。メグスタが2022年末に輸入したコロンビア種はこのセミ・ハニー精製(インタビューではスペイン語でsemi lavadoと言っていました)です。
 

発酵用のコンクリート製タンク   

乾燥設備には屋根が付いています

  

ルイス氏(中央)         

上段はナチュラル製法のコーヒー  
 
脱穀機

セミ・ハニー精製は、熟したコーヒー果実を収穫し1日休ませた後に、ミュレージを取り除く機械に掛川を取り除きます。ウォッシュト加工の場合はミュレージを取り除くために何日か水の中で発酵させ、3回ぐらい大量の水を使って洗浄します。セミ・ハニーはこの洗浄工程がありません。マルケシーナと呼ばれる乾燥棚に乗せ、時々表裏を返しミュレージでくっついた種を剥がしながら15日ほど乾燥させます。目標の水分量になったら脱穀せずにグレインプロの袋に入れて3ヶ月ほど熟成させ、出荷します。熟成前と熟成後ではカッピング時のポイントが1〜1.5も上昇するそうです。

セミハニーは種同士がくっつきやすいので、こまめに剥がしながら乾燥させます

農園の門を出て川を見に行きます    

青屋根のゲストハウス   

農園の北側にあるケブラーダ・ロレナ川に降りてみます。青屋根のゲストハウスが建築中で、次回来た時には泊まってみたいなと思いました。その後ルイスのトラック荷台に乗って、チーナアルタの集落にあるルイスの母親の家を訪問。裏手にはイエローカトゥーラの畑がありました。


昔魔女が住んでいた?岩の窪み   
 
ケブラーダ・ロレナ川 
      
チーナアルタの集落にあるコーヒーラボ

コーヒーラボにはコーヒーの焙煎機や抽出のための設備が整っています。この集落のコーヒー農園は誰でも使用することができます。


傾斜の強い場所で活躍するラバ    

ここでもラバは働き者です  
   
放し飼いにされているガチョウ

出荷前のコーヒーを集めて保管する倉庫があり、別の農園ですがちょうどコーヒーを出荷するところに居合わせました。ここではラバが荷物の運搬用に活躍しています。車の通れないような悪路でもどんどん登れる、馬よりも頑丈でロバよりも従順なところが良いそうです。そういえばコロンビアコーヒー生産者協会FNCのイメージキャラクター「フアン・バルデス」がつれているのもメスのラバ、その名もコンチータ(日本語で貝殻ちゃん)です。

コーヒーラボ近くに植えられていたイエローカトゥーラ


今回の農園訪問チームとアーネスト家

律儀な性格を感じるルイス・エルネスト氏のコーヒー作り、これからも応援お願いします。

生豆データ

CAFE DIRECTO品番TO22IBAGCOL1
Variedad:品種Colombiaコロンビア種
Altitud:標高1850m
Proceso:プロセスSemi honey –  Lavadoセミハニー・ウォッシュト
Finca:農園名Los AguacatesLuís Ernestoロス・アグアカテスルイス・エルネスト
Area:地区China Alta, Ibagué, Tolimaトリマ県イバゲ市、チーナ・アルタ地区
Colombiaコロンビア
Cosecha:収穫年2022
Punta total SCAA:参考ポイント85.25
Fecha tostado:焙煎日

収穫・入荷年:2022年収穫・2022年12月入荷(15℃定温倉庫にて保管)

荷姿: 1箱24Kgカートンボックス (12kg真空パック x 2個入り)

価格: 2,150円/1Kg(24Kg/12Kgパックの場合の価格、税抜き、送料別)

少量ロットは価格が異なります。別途消費税・送料

カッピングコメント

清潔感があり軽やか、小麦や大麦のシリアルを感じさせるデリケートなフレグランス。甘みがありシトラスと黒糖のアロマ。ジューシーでクランベリーを感じるフルーティーでシトラス系の酸味のあるフレッシュな飲み口。ボディーはクリーミーで砂糖のような甘み。冷めるとさらに甘みが増す。(SCAA会員 Mario P. Ramírez)

テイスティング・ノート

さくらんぼ、レモン、トマト、キルシュ、デーツ、アガベシロップ、シルキーな焼き菓子

(出典:https://note.com/hopfrogcafe/n/n8b0cfe9ca657) 

Hop Frog Café様 焙煎度合:焦がさない焙煎・加圧熟成

Youtube動画

ドローン映像:

Café Directo Video: Colombian Coffee Producer, Finca Los Aguacates Drone video ロス・アグアカテス農園ドローン映像

ルイス・エルネスト氏インタビュー

Café Directo Video: Colombian Coffee Producer, Finca Los Aguacates Sr. Luíz Ernesto ロス・アグアカテス農園1

Café Directo Video: Colombian Coffee Producer, Finca Los Aguacates Sr. Luíz Ernesto ロス・アグアカテス農園2